1.中津・宇佐・周防灘地域

中津・宇佐・周防灘(すおうなだ)地域

周防灘の干潟
周防灘の干潟
ヌマムツ
ヌマムツ(番匠おさかな館提供)
ガガブタ
ガガブタ
アリアケガニ(石田淳提供)
アリアケガニ(石田淳提供)

本地域は沖積平野で、水田が広がり、穀倉地帯となっている。年平均気温15℃、その周辺地にシイ・カシ類の常緑広葉樹林が茂る。降水量は年間1、600ミリ以下と少なく、多くの潅漑(かんがい)用のため池がつくられている。周辺の丘陵地には凝灰(ぎょうかい)角れき岩の岩場がみられ、乾燥環境にある。周防(すおう)灘は遠浅海岸で、干潮時には沖まで干潟があらわれ、河口周辺は塩湿地となっている所が多い。塩湿地では、ナガミノオニシバ、シオクグ、ハママツナ、フクドなどが群生し、コアマモやヤマトウミヒルモの生育地も確認されている。河川湿地やため池では、ヨシ、マコモ、ヒメガマ群落、ヒシ、ガガブタ群落やオニバス群落などがみられ、ため池上辺の湿地では、アシカキ群落やツクシナルコ群落などが繁茂し、オオタチヤナギやハンノキなどの池畔林も見られる。海岸沿いにクロマツの防風林がつくられ、丘陵地の多くはスギ植林やアラカシ二次林となっているが、宇佐神宮などでは優れたイチイガシ林が保全されている。岩場や尾根筋ではコナラ林やイブキシモツケ群落もみられる。

地域を特徴づける野生生物

[植物]テツホシダ〔ⅠA(CR)〕、シナミズニラ〔ⅠB(EN)〕、ヤマトウミヒルモ〔ⅠB(EN)〕、オニバス〔ⅠB(EN)〕、ツクシナルコ〔Ⅱ(VU)〕、ガガブタ〔Ⅱ(VU)〕など。

[動物]ズグロカモメ〔ⅠB(EN)〕、クロツラヘラサギ〔ⅠA(CR)〕、ヤマグチサンショウウオ〔Ⅱ(VU)〕、ヌマムツ〔準(NT)〕、アオギス〔ⅠB(EN)〕、カブトガニ〔ⅠA(CR)〕、アリアケガニ〔地域個体群(LP)〕、ベッコウトンボ〔ⅠA(CR)〕、オオキトンボ〔ⅠB(EN)〕、キボシチビコツブゲンゴロウ〔ⅠB(EN)〕、オオクワガタ〔ⅠB(EN)〕、シルビアシジミ〔ⅠA(CR)〕など。

天然記念物

「宇佐神宮社叢」(国指定)、「三角池の水生・湿地群落」(県指定)など。

※このページの掲載内容は絶滅危惧種カテゴリー以外は「レッドデータブックおおいた<普及版>(2002)」によっています。