日田・津江地域

本地域は大分県の西部にあり、日田盆地とその背後地の標高1、000～1、200ｍの津江山系の山々を含む。その山系は福岡県、熊本県との県境になっている。日田盆地を流れる三隈川は、有明海にそそぐ筑後川の上流に位置し、その流域は耶馬日田英彦山国定公園、背後地の山地は津江山系県立自然公園区域に指定されている。地質は新生代第三紀の花崗岩類や変朽（へんきゅう）安山岩、第四紀の筑紫（つくし）溶岩、耶馬渓火砕流堆積物と阿蘇火砕流堆積物などからなっている。内陸山地型の気候区で、年降水量3、000ミリを超す県内最多雨地域であることから、スギ植林の適地として早くから植林され、山地の80～90％はスギ林でおおわれている。自然林は標高1、000ｍを超える岳滅鬼（がくめき）山、御前（ごぜん）岳、釈迦（しゃか）ヶ岳、渡神（とがみ）岳、酒呑童子（しゅてんどうじ）山の稜線部のごく一部にブナ林やミズナラ林、谷沿いにモミ林やシオジ林が残っている。日田盆地及び周辺地の平地にはイチイガシ林やコジイ林が点在している。

地域を特徴づける野生生物

［植物］ナカミシシラン〔ⅠＡ(CR)〕、ナンピイノデ〔ⅠＢ(EN)〕、ヨコグラヒメワラビ〔準(NT)〕、ズミ〔ⅠＡ(CR)〕、アカササゲ〔ⅠＡ(CR)〕、アオハコベ〔ⅠＢ(EN)〕、ヤナギイノコズチ〔Ⅱ(VU)〕、フシノハアワブキ〔Ⅱ(VU)〕など。

［動物］カゼトゲタナゴ〔ⅠＢ(EN)〕、アリアケギバチ〔Ⅱ(VU)〕、フチトリヒメヒラタタマムシ〔ⅠＢ(EN)〕、ギョウトクテントウ〔ⅠＢ(EN)〕、クロヒカゲモドキ〔ⅠＢ(EN)〕など。

※このページの掲載内容は絶滅危惧種カテゴリー以外は「レッドデータブックおおいた<普及版>（2002）」によっています。