6.九重・由布鶴見火山群地域

九重・由布鶴見火山群地域

九重火山群のミヤマキリシマ群落
九重火山群のミヤマキリシマ群落
オオジシギ
オオジシギ
クサレダマ
クサレダマ
キスミレ
キスミレ

本地域は大分県の中央部の一部と南西部を占める火山地域。九重火山群及び由布・鶴見火山群の標高1、000~1、780mの火山と、山麓に広がる標高500~1、200mの火山性高原から成り立っている。このうち自然の優れた地域は阿蘇くじゅう国立公園に編入されている。火山群地域の火山岩類は山陰系火山に属する角閃石(かくせんせき)安山岩からなり、火山性高原は火砕流堆積物からなっていて、数層からの火山灰層でおおわれている。内陸山地型の気候区で、年降水量は1、800~3、000ミリ。植生は、山頂帯の風衝地にはミヤマキリシマ群落、岩角地にコミネカエデ林、山腹にブナ林やミズナラ林、コナラ林やクマシデ林、谷にオヒョウ林が発達している所がみられる。草原との境界にはノリウツギやツクシヤブウツギの低木林、カシワ疎林がみられる。火山性高原にはエヒメアヤメ、キスミレなどの大陸系遺存植物を含むススキ草原が広がり、多くは放牧・採草地となっている。また、ヌマガヤ群落やヨシ・スゲ群落などの湿原植生が散在している。坊ガツル・タデ原湿原は山岳地に形成された中間湿原として国内最大級の面積を有し、ラムサール条約の登録湿地になっている。近年、高原一帯は植林や人工草地、土地開発などの改変が著しい。

地域を特徴づける野生生物

[植物]サカバサトメシダ〔ⅠA(CR)〕、タニヘゴ〔準(NT)〕、ヌマクロボスゲ〔ⅠB(EN)〕、シコクハタザオ〔ⅠB(EN)〕、クサレダマ〔ⅠB(EN)〕、クサボケ〔準(NT)〕など。

[動物]スミスネズミ〔Ⅱ(VU)〕、カヤネズミ〔準(NT)〕、オオジシギ〔Ⅱ(VU)〕、ホオアカ〔準(NT)〕、トゲナベブタムシ〔ⅠB(EN)〕、ツヤマグソコガネ〔ⅠB(EN)〕、キョウトチビコブスジコガネ〔情報不足(DD)〕、キジマトラカミキリ〔情報不足(DD)〕、ブロイニングカミキリ〔ⅠB(EN)〕、クロヒラタカミキリ、〔情報不足(DD)〕、オオルリハムシ〔ⅠB(EN)〕、ヒメシロチョウ〔ⅠA(CR)〕、ゴマシジミ中国地方・九州亜種〔ⅠB(EN)〕、ミドリシジミ〔Ⅱ(VU)〕、ヒメシジミ本州・九州亜種〔情報不足(DD)〕、オオルリシジミ九州亜種〔ⅠB(EN)〕、ツリフネソウトラガ〔準(NT)〕など。

天然記念物

「大船山のミヤマキリシマ群落」(国指定)、「九重山のコケモモ群落」(国指定)、「経塚山のミヤマキリシマ自生地」(県指定)、「御嶽権現社の自然林」(県指定)、「久住のツクシボダイジュ」(県指定)、「相狭間のブンゴボダイジュ」(県指定)など。

※このページの掲載内容は絶滅危惧種カテゴリー以外は「レッドデータブックおおいた<普及版>(2002)」によっています。