7.大野川上流域、祖母・傾山地、北川上流地域

大野川上流域、祖母・傾山地、北川上流地域

祖母山の尾根
祖母山の尾根
ニホンカモシカ(森田祐介提供)
ニホンカモシカ(森田祐介提供)
ホシガラス
ホシガラス
キレンゲショウマ
キレンゲショウマ

この地域は九州東部の代表的河川である大野川水系と北川水系とが、北と南とに流れ、その源流は川上渓谷と藤河内(ふじがわち)渓谷で代表される。大野川上流域は阿蘇火砕流堆積物の台地を侵食した丘陵地で、クヌギ林、コナラ林が繁茂し、スギ・ヒノキ人工林と耕作地が広がる。標高800m以上の山岳地域は、秩父(ちちぶ)古生層や中生代の四万十(しまんと)層群を基盤とする。南海型の気候区に属し、年平均気温は15℃以下、雨量は山岳地域で3、000ミリを超える。古い火山の祖母・傾山系から新百姓(しんびゃくしょう)山、夏木山、桑原山へと続く稜線は宮崎県との県境で、九州山地の脊梁(せきりょう)となり、一帯は祖母傾国定公園およびユネスコエコパークに指定され、一部は森林生態系保護地域となっている。ここにはウラジロガシ林、モミ林、ツガ林、ブナ林など西南日本外帯を代表する自然林が発達し、森林の典型的な垂直分布がみられる。また、尾根筋のヒメコマツ林、ハリモミ林とともにケイビラン、ワタナベソウなどのソハヤキ要素の植物がこの地域を特徴づけている。

地域を特徴づける野生生物

[植物]オウレンシダ〔ⅠA(CR)〕、シイバサトメシダ〔ⅠA(CR)〕、チョクザキミズ〔ⅠA(CR)〕、ソハヤキトンボソウ〔ⅠA(CR)〕、キレンゲショウマ〔ⅠB(EN)〕、ツクバネウツギ〔Ⅱ(VU)〕、ツクシアケボノツツジ〔準(NT)〕など。

[動物]ニホンモモンガ〔ⅠB(EN)〕、ニホンカモシカ〔ⅠA(CR)〕、ブッポウソウ〔ⅠB(EN)〕、ホシガラス〔ⅠB(EN)〕、ソボサンショウウオ〔Ⅱ(VU)〕、ルリヨシノボリ〔準(NT)〕、コクロマメゲンゴロウ〔準(NT)〕、キュウシュウヒメコブハナカミキリ〔情報不足(DD)〕、ヤマトシロオビトラカミキリ〔準(NT)〕、エゾトラカミキリ〔情報不足(DD)〕、カラフトヒゲナガカミキリ〔情報不足(DD)〕、スジボソヤマキチョウ〔ⅠA(CR)〕、ウラクロシジミ〔準(NT)〕など。

天然記念物

「御嶽の原生林」(県指定)、「奥祖母のオオダイガハラサンショウウオ」(県指定)、「祖母山系のイワメ(アマゴ)」(県指定)など。

※このページの掲載内容は絶滅危惧種カテゴリー以外は「レッドデータブックおおいた<普及版>(2002)」によっています。