鳥類

1 種数等について

これまで大分県で生息が確認されている鳥類360種のうち、120種を選定種対象種として、見直し調査を行った。なお,前回(レッドデータブックおおいた2011)ではヒシクイとして扱っていた種を今回は亜種ヒシクイ,亜種オオヒシクイと2亜種に区別して調査した。その結果、「レッドデータブックおおいた2011」の選定種82種のうち、58種はランクの変更はなく、20種はランクが上がり、2種はランクが下がり、2種は選定種から除外され、12種が新たに選定種に追加され,今回の選定種の合計は92種となった。

2 選定種に追加した種について

カテゴリー外からⅡ(VU)に追加された種は、オオソリハシシギ、ツルシギ、タカブシギの3種、カテゴリー外から準(NT)に追加された種は、コウライアイサ、アマサギ、ケリ、ハマシギ、オオセグロカモメ、ヤマセミ、ヤブサメ、トラツグミ、カヤクグリの9種、合計12種が今回新たに選定種に追加された。

3 ランクを上げた種について

ⅠA(CR)に変更された種(2種)

コウノトリ、ウミスズメ、チゴモズの3種は、前回は情報不足であったが、今回の調査で情報が得られて、IA(CR)にランクを変更した。

ⅠB(EN)に変更された種(6種)

亜種サンショウクイとホシガラスの2種はⅡ(VU)からⅠB(EN)に、アカツクシガモ、サンカノゴイ、ヘラサギ、亜種アカモズの4種は情報不足からⅠB(EN) にランクを変更した。

Ⅱ(VU)に変更された種(10種)

カラスバト、シロチドリ、タマシギ、アオバズクの4種は準(NT)からⅡ(VU)に亜種ヒシクイ(ヒシクイ) 、アカハジロ、オオコノハズクの3種は情報不足からⅡ(VU)にランクを変更した。

準(NT)に変更された種(13種)

亜種オオヒシクイ(ヒシクイ)、マガン、カラシギサギ、キバシリの4種は情報不足から準(NT)にランクを変更した。

4 ランクを下げた種について

今回の調査で前回よりも多くの生息情報が得られたため、セイタカシギをⅠB(EN)からⅡ(VU)に、オシドリをⅡ(VU)から準(NT)に変更した。また、オオバンは大分市に繁殖場所が確認されていたが、造成により繁殖場所が消滅したためランク外に変更にした。
さらに、沖黒島のカワウ繁殖個体群は県下各地でカワウの繁殖コロニーが報告されたため、ランク外に変更した。

5 生育・生息地に大きな変動があった種について

  • アオバズク 営巣のための樹木(大木)が減少している。
  • 草原を利用する種であるタカ類 チュウヒ、フクロウ類 コミミズクなど河川や海岸部等の草原が洪水対策や大規模ソーラー施設により減少している。

6 その他特筆すべき事項について

  • クマタカについてはカテゴリーの変更は見送ったが、風力発電施設等建設予定地に生息するものが多く配慮を要する。
  • 亜種サンショウクイについて:亜種リュウキュウサンショウクイが分布を広げており、亜種サンショウクイの観察例が少なくなっている。
  • 前回の大分県レッドデータブックでは環境省カテゴリーに掲載されながら、大分県下で観察されている種と掲載はないが観察例が減少している種を追加した。

7 参考文献等

和名、学名、種の配列

  • 日本鳥学会(2012)日本鳥類目録改訂第7版.
  • 公益財団法人 日本野鳥の会(2015)フィールドガイド日本の野鳥増補改訂新版
  • 平凡社(2014)決定版日本の野鳥650
  • 日本野鳥の会大分県支部(2015)大分の野鳥300 大分県野鳥ガイドブック増補改訂版
  • 大分県(2012)レッドデータブックおおいた2011(普及版)
  • 環境省(2020)環境省レッドリスト2020

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