爬虫類

1 種数等について

これまで大分県内で確認されている25種の爬虫類のうち、外来種、無効分散、偶発的記録と見られる種を除く15種を選定対象種として、見直し調査を行った。その結果、ランクの変更がなかった種は4種、ランクが上がった種は1種、ランクが下がった種は2種、新たに選定種に追加された種は2種、選定種から除外した種は1種であった。これらの改訂により、爬虫類の選定種はRDBおおいた2011の8種から9種に増加した。

※県内分布に記載されている市町村名は【大分県市町村図】に従った。

2 選定種に追加した種について

ジムグリ、ヒバカリの2種を準(NT)に追加した。

3 ランクを上げた種について

ニホンイシガメを準(NT)からⅡ類(VU)にランクを引き上げた。

4 ランクを下げた種について

アカウミガメをⅠA(CR)からⅠB(EN)に、シロマダラをⅡ類(VU)から準(NT)にランクを引き下げた。また、タイマイ(ⅠB(EN))を選定対象種から除外した。

5 和名・学名について

分類および学名については、日本産爬虫両生類標準和名リスト(日本爬虫両棲類学会,2021)を参照した。

6 爬虫類に関するカテゴリ見直しの概要

県内に生息する爬虫類のうち、生息状況の悪化が顕著に進行しているものとして、タワヤモリ、ニホンイシガメの2種が挙げられる。これら2種は開発行為等による生息環境の悪化に加え、外来生物との競合、交雑による種の置き換わりが確認されており、今後も生息状況が悪化することが懸念される。このうちニホンイシガメに関しては「準絶滅危惧」から「絶滅危惧Ⅱ類」へのカテゴリ変更を行った。
また、ヘビ類の全体的な減少も目立った。ヘビ類はいずれも高次消費者であり、餌資源を通して環境変化の影響を受けやすい為と考えられる。比較的身近なヘビであるヤマカガシやアオダイショウ等も減少しているとみられ、今後注視していく必要がある。今回の見直しではジムグリ、ヒバカリの2種を「準絶滅危惧」として新たに選定した。
その一方で、かつては乏しかった爬虫類に関する調査研究記録が徐々に集積されており、一部の種については、その生息状況の評価に見直しが生じた。これに伴いアカウミガメに関しては「絶滅危惧IA類」から「絶滅危惧IB類」へ、シロマダラに関しては、「絶滅危惧Ⅱ類」から「準絶滅危惧」へとカテゴリの変更を行った。
また、RDBおおいた2011において「絶滅危惧IB類」としていたタイマイについては、時折、錯誤捕獲等の情報が得られるものの、本県の海域に恒常的に分布しているわけではないと考えられることから、選定対象種から除外した。

7 参考文献等

  • 環境省編(2014)レッドデータブック2014―日本の絶滅の恐れのある野生生物―3 爬虫類・両生類,pp153.
  • 金只遼太郎(2021)別府市でブラーミニメクラヘビを捕獲,大分自然博物誌ブンゴエンシス,4:62.
  • 九州両生爬虫類研究会 編(2019)九州・奄美・沖縄の両生爬虫類.東海大学出版部.神奈川県,pp251.
  • 松井正文 編(2017)これからの爬虫類学.裳華房.東京都,pp272.
  • 森田祐介・足立高行(2009)国東半島県立自然公園の爬虫類,国東半島県立自然公園自然環境学術調査報告書:143-146.
  • 森田祐介(2010)大分県におけるタワヤモリの生息状況,九州両生爬虫類研究会誌,1:30-31.
  • 森田祐介・安田雅俊(2015)高島におけるヤモリ類の記録,大分自然博物誌ブンゴエンシス,1:44-46.
  • 森田祐介(2020)大野川流域の爬虫類,大分生物談話会会誌,12:95-98
  • 永野隼太郎・永野葵・永野昌博(2016)大分市判田地域におけるシロマダラの分布,九州両生爬虫類研究会誌,7:1-4.
  • 永野昌博・永野葵・永野隼太郎(2017)大分県におけるニホンイシガメのアライグマによる食害の記録,大分自然博物誌ブンゴエンシス,2:94-95.
  • 永野昌博・永野葵・永野隼太郎・甲斐潤樹・菅原弘貴(2019)大分県におけるタカチホヘビの記録,大分自然博物誌ブンゴエンシス,3:88-89.
  • 永野昌博・森田祐介・松向寺智哉(2020)祖母傾山系の爬虫類相,祖母傾国定公園自然環境学術調査報告書:117-130.
  • 日本爬虫両棲類学会 編(2021)新日本両生類爬虫類図鑑.サンライズ出版.滋賀県,pp232.
  • 太田英利(2015)日本産爬虫類における外来種の持ち込みや生息環境の人為改変に伴う遺伝的攪乱の問題,生物の科学 遺伝,69(2):86-94
  • 大分県自然環境学術調査会野生生物専門部会(2001)レッドデータブックおおいた~大分県の絶滅の恐れのある野生生物~,pp507.
  • 大分県自然環境学術調査会(2012)レッドデータブックおおいた2011~大分県の絶滅の恐れのある野生生物~〈普及版〉,pp249.
  • 矢野真紀夫・森田祐介(2013)大分県における爬虫類の生息状況,大分生物談話会会誌,10:89-96.

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